先日、メルファミ!では子どもの「スペシャルニーズ」をテーマにしたオンラインお話会を開催しました。
今回の講師は、メルボルンの特別支援学校でEducation Support(教育支援員)として働きながら、ご自身も発達障害のあるお子さんを育てているSaeさん。一人の母親としての経験も交えながら、実体験に基づいた温かいお話をしてくださいました。
「診断がある・ない」ではなく、困りごとに目を向ける
Saeさんのお子さんも、診断がつくまで「わかりにくいタイプ」と言われていたそうです。また、別のお子さんもADHDの特性があり、振り返ると「もっとできることがあったかもしれない」という思いがあったことを率直に話してくださいました。
その経験があるからこそ、「今、不安を抱えている保護者の方の力になれたら」という思いで今回のお話会を引き受けてくださいました。
おすすめの一冊『発達が気になる子の育て方』
最初に紹介されたのは、平熱先生著『発達が気になる子の育て方』という本です。
「子どもへの接し方だけでなく、親自身の気持ちが少し楽になる考え方がたくさん詰まっている」と紹介され、発達が気になるお子さんを育てる保護者にぜひ読んでほしい一冊としておすすめされました。
家庭ですぐに始められるサポート
お話の中では、「家庭で今日からできるサポート」についても紹介されました。
発達が気になる子どもたちは、「やりたくない」のではなく、「どうすればいいのか分からない」「言葉だけでは理解しにくい」ということが少なくありません。
そのため、
- 一度にたくさん指示を出さない
- やることを細かく分けて伝える
- 言葉だけではなく、絵や写真、リストなど目で見て分かる形で伝える
- 子どもの「できた」を積み重ねることを大切にする
など、家庭ですぐ実践できる工夫についてお話ししてくださいました。
参加者からの質問にも丁寧に回答
今回のお話会では、事前に参加者から寄せられた質問にも時間をかけて回答してくださいました。
診断後のスペシャリスト受診の必要性
- 診断が下りることと日常の困りごとへの対応は別問題;困りごとがあればスペシャリストへの相談継続を推奨
普通校への就学可否
- ASD等の診断があっても合理的配慮の範囲内で普通校への就学は可能(法律で権利保障)
- ただし「行ける」ことと「その子にとってベスト」かは別問題
- ビクトリア州では公立校内の特別学級は少なく、他州(NSW等)より普及していない
診断待ちの間にできること
- OTだけでなく、サイコロジスト・スピーチセラピストでも自閉症アセスメントが可能
- 困りごとのエリアに応じて専門家を選ぶことを推奨(例:言語面→スピーチセラピスト)
メルトダウン・衝動性への対処
- 気持ちの切り替え方法を複数持っておくことが有効
- 「自分の気持ちだけで予定を勝手に変えない」ことを事あるごとに言い聞かせる(即効性は低いが継続が重要)
- 兄弟への影響については、個別に過ごす時間を意図的に作ることで対応
からかいへの対処
- 障害の有無に関わらず、感じの良くない言葉は使わないと伝えることを推奨;ただし他所の子への介入は難しい側面もある
グレーゾーン・学習障害のある子の普通校でのサポート
- 学習障害(Learning Disability)の正式診断があれば、学校への補助金支給の可能性あり→学校への確認が必要
- 診断なしだと継続的なサポートを受けにくい場合がある
- 小規模校の方がサポートが手厚い傾向(個人的印象)
- アセスメントを受けることを推奨:診断の有無より「その子の特性を把握するツール」として活用
診断システムについて(ビクトリア州)
- 最終的な診断は小児科医が下すが、システムは変わりやすいため、最新情報はまずGPに相談することを推奨
4歳キンダーの繰り返し(2年通園)
- 自閉症診断がある場合、4歳キンダーを2年通うことは珍しくない
「一人で悩まなくていい」
今回のお話会を開催したきっかけは、「誰に相談したらいいかわからない」「周りに同じ悩みを話せる人がいない」という声が、メルファミ!にも多く届いていたことでした。
当日はご都合が合わず参加できなかった方々からも、「参加したかった」「記事で読めるのを楽しみにしています」といったメッセージが届き、このテーマが多くの方にとって関心の高い内容であることを改めて感じました。
今回のお話を通して印象的だったのは、「親が完璧である必要はない」ということ。そして、子どもの特性を理解し、その子に合った関わり方を少しずつ見つけていくことが大切だというメッセージでした。
メルファミ!では、これからもオーストラリア、メルボルンで子育てをする日本人家庭が、一人で悩みを抱え込まず、安心して相談し、学び合える場を作っていきたいと思っています。
ご参加いただいた皆さま、そして貴重なお話をしてくださったSaeさん、最後に体験談を話してくださった麻衣子さん、本当にありがとうございました。
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